粋な中年を目指したい日記

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フグ 臆病者の処世術…NHK アインシュタインの眼

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NHK アインシュタインの眼
フグ 臆病者の処世術

お皿がが透けるほどに薄く切られたフグ刺し…まさにフグは、冬の味覚の王様、鍋によし、揚げてもよし、白子だって絶品です。

しかし、あまり知られていないフグの生態…実はかなりの臆病者、チョット脅かしただけでも逃げてしまい、すぐに砂の中にもぐってしまいます。…こんなフグがなぜ自然界を生き抜いてこれたのかを検証します。

とらふぐの仲間、フグ目フグ科の魚というのは150種類、その殆どが沿岸部、岸に近い所に生息していて日本近海にいるのはその内の50種類、食べられるものは10種類います。


フグ独特の味わいは
臆病な生態に秘密あり

フグの本場、山口県下関市立しものせき水族館でフグを観察…大型水槽には20匹のトラフグがいるはずですが…”フグがいない”…よく見ると下記画像のように砂にもぐっているのです。

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実はフグは、神経質で臆病者なんです…そんなフグが絶体絶命の時に見せる姿は、下記画像のフグ提灯…これは敵を威嚇しているのです。

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とげを出しながらお腹がみるみる膨らみます…それは大量の水、どれくらいかと言うとなんと体重の3倍、…CTスキャンで確認すると吸込んだ大量の水は胃の中にため込まれていたのです。

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こんな事が出来るのは、フグには肋骨がないからなのです…胃を膨らませるとき邪魔になって進化の過程で無くなってしまったのです。

膨らむ秘密はお腹の皮にもフグの皮はとっても丈夫、包丁で突き刺しても破れません…フグの皮や筋肉には大量のコラーゲンが含まれているのです。

その量は、鯛の2倍、コラーゲンが多ければ多いほど肉は硬くなり、弾力は増します…厚切りのフグの刺身は硬くて食べられたものではありません。しかし、温めるとコラーゲンは柔らかくなるのでフグ鍋の身は大きくていいのです。

脂肪の多さを比較するとサンマ24.6%を頭にイワシ、ブリ、アジ、タイ、マグロ、サバと続きフグは脂肪が一番少なく0.3%という結果です。

本来脂肪は重要なエネルギー源です…しかし泳ぎも遅く、砂にもぐってじっとしているフグは、運動量が少ないため脂肪を必要としないのです。

淡白な中にも滋味豊かな味わい、そして豊富なコラーゲンによってぷりぷりした歯ごたえ…それはフグの独特な生態から生み出されていたのです。


臆病なフグが隠し持つ武器とは?
武器その1 歯

フグははえ縄漁で捕獲されます…漁師はフグが上がるとすぐに歯を折るのです(歯切り)…他のフグを噛んで商品価値を下げないためです。

フグの特徴は強靭な歯、餌である貝やカニを噛み砕きます…口の中を覗いてみると上と下に2本づつ鋭い歯が見えます。

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どれだけ強いか銅板を噛ませると…この通り(下記画像)、銅板が簡単に噛み切られています。

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これがフグが自然界を生き抜く武器だったのです。


臆病なフグが隠し持つ武器とは?
武器その2 ヒレ

フグが泳ぎながら同じ場所にとどまる事が出来るのは、ヒレを器用に動かせるからこそ…多くの魚は尾びれを振る事で推進力を得ていますがフグは全てのヒレを器用に動かします。

こうする事で細かい動きが可能となるのです…ふわりと上昇、その場で方向変換、後ろにだって進めるのです…早く進む事は出来ませんが小回りな泳ぎが出来るフグ、複雑な波の激しい沿岸部でも確実に獲物を捕らえます。

そして鋭い歯でそれらを噛み砕くのです。


臆病なフグが隠し持つ武器とは?
武器その3 毒

日本近海に生息するフグの殆ど全てが毒を持っています…下記画像が毒を持っている部分です…フグをさばけるのは免許を持った調理師だけ、危険な毒があるのは主に内臓です。

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毒の多くはテトロドキシン、僅か2mgで人の命を奪ってしまいます。

鋭い歯、ヒレを使った巧みな泳ぎ、そして敵を寄せ付けない猛毒、これこそが臆病者のフグが厳しい自然界を生き抜いてきた秘密だったのです。

国立科学博物館 動物研究部 松浦啓一さん
「テトロドキシンの解毒方法はありません…熱を加えれば大丈夫だろうと思う人がいますが残念ながら消えません…くれぐれも自分で料理して食べる事はやめてください」

しかし、養殖のフグは毒を持たないのです…なぜでしょう?


養殖のフグには毒がない!!
フグと毒の意外な関係

チーム・アインシュタインが向かったのは長崎県にある養殖場、水中ブリンプカメラを使って生け簀の中を覗いて見るとところ狭しにトラフグが泳いでいます…その数3000匹。

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本当にここにいるフグには毒がないのでしょうか?…そこで天然と養殖、それぞれの肝臓を実際に調べると天然のフグには猛毒があるのに、養殖のフグには毒がないのです。

フグの毒の源は、海の中にいる細菌(ビブリオ・アルギノリティカス)です…これを貝やヒトデがため込み、それをフグが食べる事により、毒が蓄積されていくのです。

つまりフグの毒は、自然界の食物連鎖が原因だったのです…養殖のフグは人工の餌で育てられるため体に毒が溜まらないのです。

私たちにとってはいい事づくめのようですが、毒がない事からフグの体には様々な問題が発生するそうです。…養殖場で育てられたフグは、免疫力が低下し病気にかかりやすくなるのです。

時には生け簀ないのフグが全滅してしまう事もあるのです。

人間にとって危険極まりないフグの毒、しかしフグにとっては敵を遠ざけるためだけでなく、生き残るために重要な役目を持っていたのです。




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